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■鉄道の法律
かつて、鉄道には、法律上、日本国有鉄道法による国鉄と地方鉄道法によるいわゆる私鉄、さらに軌道法による路面電車の3つの種類がありましたが、1987年の国鉄の民営化によって、基本的に国鉄と私鉄の区別がなくなりました。現在では、鉄道事業法か軌道法どちらかで運営されています。
路面電車が一般的な鉄道と区別されていたのは、通常の鉄道がかつての運輸省の管轄であったのに対し、路面電車は道路上を走るため、運輸省と道路を管轄する建設省との共管だったためです。
現在、東京都内にはJR以外に、7つのいわゆる大手私鉄が乗り入れています。これ以外にも、第三セクターや東京都交通局、あるいは営団地下鉄などが鉄道事業を行っていますが、これらのほとんどに、鉄道事業法が適用されています。一方、モノレールやゆりかもめなどの新交通システムは、高架によって道路の上空を通るということで、原則として軌道法の適用を受けています。ただし、この区別は、物理的に適用されるものでなく、事業上あるいは運営上の都合、または敷設する敷地の区別によって鉄道事業法か軌道法か分かれますので、混然としているのが実態です。

■新交通システム
都市交通として、新交通システムが注目されたのには、いくつかの理由があります。その中には、事業を開始する際の資金調達の問題もあったようです。
鉄道というのは、原則的には鉄道事業者がすべて自前で施設をつくらなければなりませんでした。もちろん、補助金として国などからの出資があったのも事実ですが、それでも用地買収や線路の敷設、駅舎の建設など、膨大な資金を要する事業です。
一方、道路は、ごく一部を除いて、国や自治体がつくるものです。例えば、バス会社が道路をつくることはありません。道路敷設に関してはその事業費の相当部分に、自動車重量税や揮発油税(いわゆるガソリン税)などから集めた道路特定財源が当てられます。これは、自動車を使用する人や事業者に建設費を負担してもらおうという「受益者負担」の原則に基づいています。したがって、道路というのはしっかりとした財政的サポートのあるものになっています。
これに比べ、鉄道は目的税に基づく確固たる財源がありません。したがって、その補助金は、一般財源から拠出されることになり、決して潤沢なものとはいえません。この点が、特に、地域の鉄道敷設について不利でした。
そこで、「軌道」というシステムが見直されることになりました。高架を走る新交通システムやモノレールなどの、橋脚、橋桁、あるいはトンネルなどは道路の一部である、または道路整備の一環として行うという解釈を行って、その部分までは道路特定財源から拠出対象とすることにしました。この結果、いろいろな自治体が、都市内の新しい交通インフラとして、国からの資金拠出を得やすい軌道法の適用を受ける新交通システムを採用するケースが増えているようです。地方の地下鉄の中には、軌道法に基づいて敷設されているものもありますが、それも、この理由によるものでしょう。

■東京臨海新交通臨海線「ゆりかもめ」と新交通システム
さて、新交通システムの制度上のメリットは、上記のとおりですが、では、機能的にはどのような特徴があるのでしょうか。  例えば、東京の湾岸地域を走る東京臨海新交通臨海線「ゆりかもめ」は、走行輪にゴムタイヤを採用した側方案内方式鉄道です。ゴムタイヤは、加速・減速性能がよく、駅間距離の短い都市内交通には適しているといえます。また、鉄道に比べて急勾配の上り下りや急カーブなどにも対応でき、騒音も大きくないという特徴を持ちます。
車輪で走る鉄道は、発車するときに大きな動力が必要ですが、いったんスピードを上げると、慣性力で走るので、平地であればあまり力を使いません。その意味では、効率はいいのですが、それも距離が長くないとその特徴が生きないのです。ということは、街中で発車・停車を繰り返すと、かえってエネルギー効率は悪くなってしまいます。道路の上に敷設する都市交通としては、タイヤを採用する方が利点が大きいわけです。  ゆりかもめの車両定員はおよそ350人であり、これも新交通システムの特徴の一つといえるでしょう。普通の鉄道であれば、10両編成で2000人程度の乗車定員ですが、いわばバスの延長として考えられている都市内交通としては、これではオーバースペックになってしまいます。
 
側方案内
中央案内

ゆりかもめ
  ゆりかもめの車両は、窓を大きくとって、レインボーブリッジや高架を走る車内から臨海地域の景観を楽しめる工夫がなされています。また、シートはクロスシートを採用して、車内のカラーリングも落ち着いたものにするなど、細かな配慮がなされています。
このゆりかもめは、2005年度末に豊洲まで延伸される予定で、豊洲で有楽町線と接着することになります。また、2007年度には、日暮里と見沼代親水公園を結ぶ「日暮里・舎人線」が開業予定ですが、これも新交通システムで建設されています。また、新交通システムではありませんが、江東区や中央区に路面電車の敷設の構想があるなど、「軌道」については、目が離せない状況になりつつあるようです。
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